ファッション通販 ECで売上をあげるには?

 

2005~2008年くらいまで、EC(Electronic Commerce)サイトを作れば何でも売れる時代がありました。それも信じられないくらいに。
現在ではAmazonやZOZOなどの大手から趣味のショップまで星の数ほどあります。ただ出店しただけでは、絶対に売れません。
ECで売上を立てるにはある意味、実店舗よりも難しいかもしれません。

しかし、売れるようになってくると、全国にお客様ができて交流しいろんな情報が入るようになって、それがさらにお店を楽しくして売上アップ。という好スパイラルになります。

では、ECが売れるようになるにはどうすれば良いのでしょうか?

ECの売上は、1つの公式で表されます。それは・・・

 

売上 = 訪問者数 × 成約率 × 客単価

 

これだけです。これさえ攻略できれば売上はあがります。
理論上では、売上を構成する「訪問者数」「成約率」「客単価」のいずれかを伸ばせば売上も必然的に上がりますが、まあ、そんな上手い話ではありません。

例えば、様々な手段を講じて集客できたとしても、ユーザーに不親切なランディングページであれば、CVR(成約率)は下がる一方で売上は伸びません。

また、アパレル業界の場合はECで売上をあげるには、ファッション業界ならではのコツがあります。この公式をアパレルに落とし込んで解説します。

 

◯ 訪問者数(SESSIONS)を増やすには?

 

訪問者を増やすには、まずPV(ユーザーにサイトを表示させる)を増やすことが窓口になります。このPVを増やすには大きく2つ。SEO対策とWEB広告があります。

 

<SEO対策>

検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)通称SEO対策は、Googleの検索結果で自身のECサイトを上位表示させたり、より多く露出させること施策のことです。上位表示(検索1ページ目)に表示すれば、検索流入によるPV増加が大きくも見込めます。検索2ページ以降はほとんどのユーザーに見てもらえないので、検索流入によるPVも見込めません。

アパレルECのSEOといえば「ブランド名+通販」「ブランド名+取扱」「ブランド名+アイテム名」が定番のキーワードです。実店舗への来客促進も考慮するなら「ブランド名+地域」も大事です。

有名ブランドの場合は競合が多いですが、ニッチなブランド名の場合、上位が狙いやすいです。本命ブランドではなくとも、まずは狙いやすいキーワードでPVを増やしていくことが先決。お店を知ってもらうことを第一に考えてください。知られていないのは存在していないことと同じですから。

またgoodkeywordを使いサジェスト(キーワードに関連するキーワード)を抽出・検討してみることをおすすめします。意外なお宝サジェストが眠っており、検索トップを獲得することも不可能ではありません。

 

  

 

 

<WEB広告>

ひとえにWEB広告と言っても、リスティング広告、ディスプレイ広告、バナー広告、SNS広告などたくさん種類があり、おそらく今後もヴァリエーションが増えるでしょう。WEB広告は目的とターゲットによって使い分けます。

「売上を増やす」という明確な目標、つまりマーケティング施策の場合、SEO対策してもすぐに効果が出ないことがほとんどです。また、効果が出るまで時間を要する場合もあります。必ずしも効果があるという保証もありません。

その反面、WEB広告の場合は、施行したその日からすぐに効果が表れます。

昔は、広告より検索の上位表示の方がユーザーウケがいいという風潮がありましたが、そもそもECの場合は購買意欲のあるユーザーがターゲットなので、むしろ広告を出しているお店の方が「お客さんを迎える準備があるお店」として認識されるケースが多いです。WEB広告は限られた予算とリソースで着実に成果を出したい、という場合に最適です。

WEB広告の種類や目的に応じた使い方など詳しい内容はまた別の投稿で書きますね。

 

◯ 成約率(CVR)を高めるには?

 

<プロらしい商品説明>

あなたが販売員の経験があれば、ECでCVRを高めるのは簡単です。
なぜなら、CVRを高めるというのはプロセスとしては店頭で接客することと同じだからです。

店頭に来られたお客様に商品を説明するときにどんなことをしますか?どんなことを話しますか?

  • 展開色や柄の説明
  • 材質や素材名の説明
  • サイズ感の説明
  • 手に触れた時の触感を言語化 柔らかい?ツルツルする?
  • 着た時のシルエットの説明 細み?緩やか?Aライン?
  • 洗濯はできる?自宅?クリーニングのみ?
  • これ着たらどんなイメージに変身できる?どんなとこに着ていけばいい?
  • どんな色合わせ、コーディネイトがおすすめ?

 
などなど・・・たくさんありますよね。
これらを全部説明するのです。目の前にお客さんがいることをイメージして。
その服のメリットや価値、美しさ、憧れが伝わり、コストを上回れば、必ず買っていただけます。

伝えたいことをフォーマット化しておけば、各商品ページで使い回しも可能です。

 

<画像は最低でも6点>

どんなに素晴らしい商品説明があっても画像がなければ、伝わりません。
多ければ多いほど良いです。

・全体像(前後)2枚
・ディテール 3枚
・着用画像 1枚

最低6枚でもたったこれだけしかありません。
本気で買いたいと思っている人の中にはストレスを感じる情報量です。10枚は欲しいところです。

デジタルカメラでなくとも、スマートフォンのカメラでも高性能ですので十分です。

また、撮っただけでは実際の商品と色の見え方が違っていたり、商品ページに掲載すると暗く見えがちなので、画像編集アプリを使い最低でも明度と彩度を上げ、実際の商品の色に近づけるようにしましょう。このちょっとした手間で、返品やクレームを回避できます。

 

<着用画像はあなた>

SNSの影響もありプロのモデルが着た試着画像より、あなたやスタッフなどに着てもらって撮った写真の方がリアリティーがありお客様との距離が近くなるため、着た時のイメージがしやすく購買につながりやすいです。

また撮影場所もスタジオや店内ではなく、屋外のリアルな日常の風景をバックに撮ったほうが効果的です。

 

<カゴ落ちの回避>

カゴ落ちとは、お客様が商品をショッピングカートに入れたにもかかわらず、途中で買い物を中断してページから離脱してしまうことです。
このカゴ落ち、結構バカにならなくてアメリカのbarilliance社によると、世界中のECサイトのカゴ落ち比率は平均68%もあるそうです。

例えば、月100万の売上があるECの場合、もしカゴ落ちが0%だったとしたら本来は330万円売れている可能性があるということです。

よって、できるだけカゴ落ちをなくすだけでも売上があがる可能性があります。

では、カゴ落ちはどのようにして起こるのでしょうか?
以下のような調査結果があります。

上位から訳すと以下の通りになります。

1:思っている以上に高くなった
2:会員登録が面倒くさい
3:購入までのプロセスが長すぎ
4:トータルの費用が高かった(配送料・手数料)
5:エラーが出た
6:カード情報を入力するのに抵抗がある
7:配達まで時間がかかる
8:返品条件に不満足
9:セキュリティーチェックが多すぎ
10:クレジットカードが使えない

すべてを自社のECにフィットさせるのは難しいかもしれませんが、すぐに改善できる箇所もいくつか見つかります。

例えば、2の会員登録を「する」「しない」を選んで購入できるようにすることはすぐに対応できます。

また、6については「AmazonPay」を導入することを強くおすすめします。
Amazon Payを導入すると、Amazon以外のECサイトでも住所情報とやレジットカードの情報を再入力することなく、Amazonのアカウントを利用して簡単に安心して購入できます。明らかに売上が変わりますよw(経験済み)

 

8の返品条件にしても、縛りはあまり強くせず「なんか気に入らなかった」という理由でも快く受けるようにしましょう。無条件(未使用の範囲)で返品を受付けることで、お客様に安心して購入できるように促します。

返品が多い場合、それはお客様のせいではなく、きちんと商品説明をできていない、あなたに原因がある場合がほとんどです。

ちなみに、僕がこれまで運営してきたサイトでは、返品は半年に1件あるかないかぐらいでした。

 

 

◯ 客単価(AT)をあげるには?

 

客単価アップについても、販売員の経験がいきてきます。

 

<セット売り>

ほとんどのアパレル販売員が念頭に置いているのが、服の単品売りではなく「セット売り」です。これは単純に売上をあげたいというだけでなく、コーディネイトして買って来て頂いた方が相乗効果で、よりカッコよく(可愛く)見えるのでお客様におすすめします。

これを商品ページ上で表現しましょう。

スタッフの試着画像を掲載する際に、当然他のアイテムとコーディネイトしていますよね。
例えば、スカートの商品画像であれば、それに合うブラウスやシューズやバッグなど合わせているはずです。それらの情報「アイテム名とプライス」も掲載して、それぞれの商品ページにリンクさせておきます。
なぜこのような合わせ方をしているのか、ちょっとした説明があればなお良しです。

また、よく楽天やAmazonにある「これを買った人はこちらも見られています」というレコメンド機能やユーザーの閲覧履歴を表示できるサイトをお持ちならば、ぜひ使いましょう。

 

<フェアやイベントのノベルティを活用>

アパレル業界だけではありませんが、季節に応じて様々なフェアやイベントをEC上でも開催します。ハロウィン、クリスマス、ニューイヤー、ヴァレンタインなどなど。

これに乗じて例えば、オリジナルステッカーやクリアファイルなど、数十円〜数百円(予算に合わせて)で様々なオリジナルグッズを作り、「¥〇〇以上お買い上げの方に限定プレゼント」と打ち出します。高価な物や素晴らしいモノでなくても、ちょっとした心遣いを感じるものがお客様に喜んでいただけます。

 

<顧客ファン作り>

SNSを活用してお店の情報を発信している方も多いかと思いますが、お店の入荷情報ばかりでは「売込み臭」がきつくて冷めるお客様が増え、「いいね」は伸びずにモチベーションが下がり投稿も減るというケースも多く見受けられます。
SNSをすぐに売上に結びつけようとするのは素人。SNSはあくまでもお客様とのタッチポイントとして運営するのがベストです。

例えば「こんなファッションニュースがあったが自分はこう思う」とか、「昨日こんな映画を見てあの俳優の衣装が素敵だった」など、ファッションを絡めつつあなたのセンスを感じさせる投稿を続けると、共感する人がどんどん増えます。同じ方向を見ると、距離はどんどん縮まる。

そうやってあなた自身込みでお店のファン作りコツコツやっていって、たまに商品入荷情報を打つと、即日完売したりします。その完売速度が早くなるほど、お客様は「欲しいと思った時はすぐに買っとこ」と認識し始めて好スパイラルが発生します。気がついたら(必然的に)客単価も上がっているはずです。すべては地道な下地作りが大切です。

特に、もしあなたが独自のキャラだったり、アパレル業界の中でも独自のファッションセンスをお持ちの場合は、SNSでどんどん発信しましょう。

 

◯ まとめ

 

何度も言いますが、ECは魔法のツールではありません。
オープンしただけでは何も起こりません。実店舗のように「ショーウインドウ見て良さそうだったから入店した」なんてこともありません。
ご来店いただき売上をあげるには、実店舗以上の労力がかかります。

しかし、一旦軌道に乗れば全国からのお客様だけでなく、良い情報や良い取引先や良い品揃えなどにも恵まれます。また、ECを通じて遠方からはるばる実店舗まで足を運んでくださるお客様も現れ、泣きそうになることもあります(笑)やればやるほど、楽しくなります。

「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の”三方よし”の精神を忘れずにいれば、必ずうまくいきます。

頑張ってください!
応援しています。

長文、最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

AKI yoshida
ネットショップの売上アップとスキルアップをサポートするSELENOGRAM(セレノグラム)代表。セレクトショップ実店舗を経営後、EC業界に専念。さまざまな業種のネットショップ運営に携わる。現在、某ブランドディレクターとNPO法人のWEB責任者も兼任中。

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