店舗でもない、ECでもない、ファッションの販売方法。

新型コロナウイルスによる全国に外出自粛要請が出され、やむを得ず多くの企業・商店は休業されています。

この経済的な失速を少しでも回避、または今できることをしようと、オンラインミーティングやUberEatsなど、さまざまなアイディアを実践されていることも多いかと思います。

ファッションにおいても、InstagramをはじめSNSを強化しているブランド、マスクを製作・販売しているメーカー、ECのコンテンツをブラッシュアップしているお店など、それぞれに合った趣向を凝らしています。

そんななか、数社のブランドやショップから、EC限定の「STAY HOME フェア」という名のDMが届きました。
なんとなく違和感をおぼえ中身を見てみると、

「対象商品10%OFF!」

・・・。

ただのSALEでした。
#STAY HOME を利用した安売りじゃん。。。
言い過ぎでしょうか?

在庫が動かず、苦しいのはわかるんですが、
お客さんの立場になって考えているとは思えない。

自粛でマインドが下がり気味のいま、安くなったからという理由だけで、オンラインで服を買う人ってどのくらいいるでしょうか?

ECを強化できていなかったブランドやお店は、こういうときに安易にECにSALEを持ち込んではいけません。たいして売上が立つことなく、ただブランドやショップイメージが下がって終わりでしょう。

今ECの活用としてやるべきことは、Googleアナリティクスを導入し、きちんとデータを取ることや、スタッフによる役立つファッション知識やコーディネイト提案など、普段なかなか着手できなかったECのコンテンツを増やすことです。SNS活用の見直しもいいでしょう。

これらは売上にすぐに結びつくものではなく、近い将来への投資で、とにかくお客さんとのタッチポイントを増やすことが目的です。

では、今はどうすれば良いか?
店舗でもないECでもないかつ今すぐできそうな販売方法も考えてみましょう。
 

例えば、以下のような方法はいかがでしょうか?
この販売方法のヒントは、昔ながらの百貨店の「外商」にありました。

Lyst is giving away gift bags to New York Uber users during fashion week.
Courtesy Photo

○ アナログコンテンツマーケティング?!

百貨店には「外商部」というのがあります。噂では百貨店の売上の6~7割を外商部だけで占めるといわれています。

この外商とは、ざっくり言うと顧客の中でも年間数百万お買い物をする「超上顧客層のお客様」のご自宅までおすすめの商品を持ち込み販売したり、シークレットなパーティーや展示会で特別な商品を販売する方法です。

上記のような外商の手法のもっとカジュアルなサービスへとブラッシュアップしてはいかがでしょうか。
御社の上顧客に対して「ご自宅で気軽に最新のファッションを試着できる」というサービスです。

これのポイントは、今まで見たことないようなまったく新しい手法ではないけれど、実施しているところは少ないという点です。

これにWebコンテンツの良い部分を組み合わせてみます。
また「自宅にいながら」という点で、最近のUberEatsなどの文脈にもフィットするのでトレンド感もあります。

このサービスの準備と流れを思いつくままざっと書いてみます。
突っ込みどころはあると思いますが、そこは各自で精査してください(笑)

○ Uber Fashion

① 上位2割の顧客を抽出。

「売上の8割は購買客の上位2割で成り立っている」というパレートの法則から、顧客リストから上位2割のお客さまを抽出します。

感覚ではなく実際にお買い上げ頂いた数字で判断するのがポイント。よくご来店していてもあまり買ってないとか、一見地味なお客様が実はたくさん買っているなど、感覚と実際のデータは剥離している場合があります。

② 顧客にアポイントをとる。

今の世情、現在のお店の状況をきちんとお伝えして、このサービスをはじめた趣旨を説明しましょう。その上でお客様に似合いそうな商品をセレクトしてご自宅までお届けしてお預けするので、ゆっくり見て楽しんで欲しいことを伝えます。

もし良さそうなものがあれば、お買い上げしていただき、無くても全然構わない、お客様の手間やリスクがまったくないことを強調しましょう。

③ 商品の説明シートを作成する。

「服は試着すればわかる」という人が多いですが、むしろ逆。
試着してもわからないことことは多いです。

この商品がなこのようなシルエットに見えるのか?パターンは?素材は?サイズスペックは?レイヤーの相性の良い素材は?どんなコーディネイトがいい?実際に着るシーンは?など、1つの商品についても、伝えたいことは山ほどあると思います。

これらをA4またはB5のシートにまとめます。
伝えたいことを全部ダラダラとシートに書き込むのは素人。簡潔にわかりやすく(難しい用語や専門用語の多用は逆効果)できるだけ短く伝えたいことを絞った文章にしましょう。

IllustratorやPhotoshopでデザイン性のあるものを製作するのも良いですが、むしろ手書きのほうが印象に残りやすく読まれやすいので、ケースバイケースで判断してください。何日もかけて作るようなものではありません。すぐに作れる方にしましょう。

これはWebコンテンツを作る訓練にもなるので、
職種を問わずおすすめしたいスキルです。

④ 家にいながら最新のファッションの試着体験

顧客宅にセレクトした商品とアイテムシートを配達。
ご挨拶と感謝、そして翌日回収する旨をお伝えして、さっさと帰りましょう。

上がり込んでセールストークを展開したり、購入を懇願したりは絶対NGです。「売り込み感」は1ミリも漂わせてはいけません。

何度も言いますが、「ご自宅で最新ファッションをゆっくり楽しんでいただく」ことが目標です。

回収日には、お付き合い頂いたことにまず感謝しましょう。
もしお買い上げいただける商品があれば、そのまま置いて伝票を記入しお客様に渡します。決済方法は後日メールでお伝えするのがスマートでしょう。もしAirレジをお持ちでしたら、その場で決済できますので便利ですね。

⑤ 狭く深くお付き合い

対象とするお客様を増やしすぎないことがポイントです。
上顧客以外のお客様を増やすとトラブルの確率も増えますし、管理も煩雑になってきます。

信頼関係を築いてきたお客様限定で、より深くお付き合いできることを大切に守りましょう。

○ ファッションテックのその前に

VRなどを使ってファッションテック(ファッション×IT)の話題が色々と上がっていますが、コスト面であったり、スタッフの作業面であったり、今すぐできるというよりは少し先の未来の話が多いです。

これらを実現を待つのではなく、ICTを利用したすぐできることは他にも色々あると思います。たとえば、今盛んなオンラインミーティングをちょっと応用してZOOMを使ったオンライン接客(新商品紹介)なんかも面白いのではないでしょうか。

とにかくやってみることです。
何もやらないと可能性は0%ですが、ダメ元でもやってみると小さくても可能性はあります。ゼロではありません。

さまざまなものが無料で使える現在はリスクも限りなく小さい。

まだECショップがほとんど存在しなかった頃、僕はいち早く取り組んだのですが、まわりから「ネットで服を売るなんて試着できないから無理」「ネットで販売するなんて血が通っていない」など散々言われました(笑)。

いうまでもなく、いまECをやっていない物販の方が珍しいくらい浸透しました。

なにがキッカケになるかわかりません。
気になるものをどんどん試して積み重ねてみてください。

あなたのブランド、お店がたくさんのお客様に喜ばれる存在になることを応援しています。


Webマーケティングの正解 ~ほんの少しのコストで成功をつかむルールとテクニック

AKI yoshida
ネットショップの売上アップとスキルアップをサポートするSELENOGRAM(セレノグラム)代表。セレクトショップ実店舗を経営後、EC業界に専念。さまざまな業種のネットショップ運営に携わる。現在、某ブランドディレクターとNPO法人のWEB責任者も兼任中。

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