ドロップは勲章

 

「秋冬で御社から頂いていたオーダーの中で3品番ドロップしてしまいました」
(*ドロップとは発注量が少なくて商品化されないこと) 

独自の個性を追求しているお店やバイヤーには耳慣れたセリフかと思います。

ドロップは残念な反面、実はちょっと「よしよし!」という思いがあります。 ドロップするということは、それだけ他店様は発注しなかったということ。⇒ウチだけの独自性のある発注をしていたということ⇒差別化を念頭においた感覚を維持していること。ちょっとプラス思考過ぎるかな(笑)

もちろん、根拠なくわざと奇をてらったようなセレクトをしているのではありません。 見た瞬間に「あー、〇〇さんに似合いそうだなぁ」とお客様の顔が浮かんでくるような服。そしてどこでも買えないような匂いを発して、わざわざこんな店舗まで御足労頂く価値のあるモノ。

 そうやって厳選したうえで、ドロップになってしまったら残念ではあるけれど、これはこれでいいんじゃないのと思ってしまうんです。だって、それはウチだけの価値観を維持している証でもあるから。

本来バイヤーが商品を仕入れるときは、多くの人が良いと感じ気に入ってもらえるようなアイテムを見つけるのがセオリー。
特に大手になればなるほどマスを意識しなければならない。
加えてデザインやクオリティーが値段に見合っているかあるいは割安感を感じるかも重要。

しかしこれは大手のやり方。
ウチのような数店舗程度の小規模な経営であれば、様子が変わってくる。

地場の路面店のセレクトショップはほとんど小規模。そんな我々が大手のセレクトショップや、ましてやファストファッションのやり方を真似ても、上手くいくはずがない。
というか、個店である事の魅力を活かせない。
大手は資本力がありガッツリ在庫を持ってブランド展開することができる。
同じブランドであればしっかり品揃えされているほうにお客さまが流れていくのは当然のこと。 

小規模展開のお店は、マス対象では満足できない趣向をお持ちの方にグッとターゲットを絞り(全てのお客様に気に入ってもらうなんてヤラしい考えは捨てて)、大型店では味わえないような満足感を提供できるように知恵を絞ることが、ひいては顧客満足へとつながり結果繁盛するのではないでしょうか。少なくともボクはそう信じています。

そういった意味では、ブランド側が「これ〇〇(大手セレクトショップ)さんも気に入ってくれたんですよ!」な〜んて言われると、
「だけ、どしたん??」
「んじゃ、ウチはいらんわ!」
と、まあ、ちょっとイラっとする時もあったりなかったり・・・汗

ウチの品揃えは顧客さん達の未来像、「〇〇さんはこんなの着たらもっとカッコ良くなる!」というヴィジョンが常にあって、あくまでもボクはちょいちょいと編集しているだけ(笑)
ファッション関係のサイトやFBなどでも「有名セレクトショップの今シーズンのイチ押しはこれだ」みたいな記事よくありますけど、正直どーでもいい(笑)むしろ、お!一緒じゃなかったラッキーという、逆確認作業では役にたつかな(笑)

だからね、ドロップって当店だけのセンス(最先端である事とは別)を持っている証拠であったり、マイルストーンであったりするのです。

もちろん、
「全品番ドロップです!」
なんてことになったらお手上げですけど(笑)

* 本文と画像は何ら関係ございません。

AKI yoshida
ネットショップの売上アップとスキルアップをサポートするSELENOGRAM(セレノグラム)代表。セレクトショップ実店舗を経営後、EC業界に専念。さまざまな業種のネットショップ運営に携わる。現在、某ブランドディレクターとNPO法人のWEB責任者も兼任中。

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