展示会は趣味の発表会ではない

 

ファッションブランドにとって展示会はとても大事なイベントです。


これまで培ってきたものと新しく得た感覚を作品に落とし込み、バイヤーやプレスに披露します。バイヤーは自店の商品構成に照らし合わせながら発注量を決めていきます。その発注金額がブランドの売上高となります。

つまりブランドは春夏と秋冬年2回の展示会で1年間の売上げほぼが決まってしまう。 バイヤーは見て触って着て、担当者やデザイナーからじっくり商品説明を受け理解を深め、自店のお客さま達の顔を思い浮かべながらジャッジしてゆきます。 

ツイル、コーデュロイ、ジャカード、ツイードなど、基本となる素材は当然把握していますが、バイヤーとて独自の技術や新しい生地などは教えてもらわないとわからないものなんです。  しかし・・・  稀にではあるんですが、ろくに商品説明しないブランドがあります。 

「どのような製法なのか、どんな生地なのか、詳細にお客さまに伝えたい!」という思いが、どんなバイヤーよりも強いと自負しているものですから、以前ブランドの営業に「もっと細かく商品説明するべきでは?」と疑問をぶつけたところ・・・

「見て触ったら感覚的に伝わると思うんですよ〜」  ・・・(絶句)
 サー・・・(血の気引くw) 

 そんなん伝わるわけないじゃん。 現にバイヤー歴の長い僕にも伝わってないっスけど?
じゃあ、なんですか、 僕にはその感覚とやらが無いんっスかね? 5マン10マンする服をNO接客で売れと?  

もちろん、うんちくを垂れてスペックを語ったところで、お客さまが気に入ってくれるとは限りません。しかし、商品の生産過程をきっちり把握しておかないと気心地やコーディネイトや洗濯などのケアを提案できませんって。

そもそも自分らで生み出した服達に愛情は無いのかな? 昔なら、そんな生温いことやってても良かったかもしれない。でも今は、SNSやブログなどが充実しブランドやショップなどは(極端に言うと)発信しなきゃ存在していないのと同じ。 だからね、「見て触ったら伝わる」なんてカッコつけてるつもりか知らんけど、むしろそういうノリって古臭くて失笑なんですよ。 服の魅力をたくさん伝えて、お手持ちの服とのコーディネイトを組んで差し上げたり、それを着て行く場所のことを想像してプランを立てたり・・・

新しい服を買う行為それだけでなく、そのプロセスである会話や空間や流れている音楽まで全部ひっくるめて「伝えるコト」が大事。

これは今も昔も変わらず、「服を着ることの楽しさ」をこれからも大切に伝えていきたいのです。 

AKI yoshida
ネットショップの売上アップとスキルアップをサポートするSELENOGRAM(セレノグラム)代表。セレクトショップ実店舗を経営後、EC業界に専念。さまざまな業種のネットショップ運営に携わる。現在、某ブランドディレクターとNPO法人のWEB責任者も兼任中。

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