【言語化力】三浦崇宏(著)|ブックレビュー|ページをめくるたびに悲しくなる

手に取った時、わりと軽い気持ちだった。

ブログやTwitterに役立つ文章術かも、くらいのノリ。

確かに、言葉によって人を動かすような手法が簡潔に鮮やかに示されているので、言葉を多く使う仕事や趣味を持っている人には、大いに役立つであろう。

しかし、これは単なるテクニック本ではなかった。

言葉で人生をデザインして、言葉によって「幸せのシルエット」を描いていく著書に、どこか落ち着いたバーで語り合っているような錯覚を覚えた。

僕は、忘れたくとも忘れられない大きな失敗がある。

いくら悔やんでも反省しても過去は変えられないし、振り返っても無意味であることはよくわかっている。

わかっているはずなのに、今でも不意に記憶が舞い降り、ズキズキと心を刺す。

「多くの事象は言葉で因数分解すると本質が見えてくる」と著者はいう。

本当は向き合いたくない感情と記憶を取り出し、言葉で紐解いてみた。

失敗のなかで「何が一番辛かったのか」「辛かった要素を言葉で小分けする」「その小分けした事象を見つめてみる」

そうやって、過去に新しい意味を見つけていくと、あれはあれで必要な失敗だったのかもしれないと、思い始めることができた。

辛い過去を封印するのではなく、言葉によって開き「成仏」させる。

これによって、失敗を未来への素材へと変えることができる。

そしてさらに、言葉が新しい未来に連れて行ってくれる。

自分の想像を超えて。

ページが残り少なくなっていくと、著者との語らいもあとわずかなのか、もう少し喋っていたい、

そんなちょっとせつない気持ちになった。

しかし、これくらいがちょうどよいのだろう。

どんなに素晴らしい思考を得ても、実行しなくては持っていないのと同じ。

誰でも何でも発言・発信していける時代。

これからますます「言語化する力」がある人が強くなるだろう。

さて、僕も「言葉を武器」に自分の居場所を切り開いていこう。

AKI yoshida
ネットショップの売上アップとスキルアップをサポートするSELENOGRAM(セレノグラム)代表。セレクトショップ実店舗を経営後、EC業界に専念。さまざまな業種のネットショップ運営に携わる。現在、某ブランドディレクターとNPO法人のWEB責任者も兼任中。

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